多様体と幾何学

松本『多様体の基礎』から始めて、松島『多様体入門』、志賀『多様体論』まで、制覇します。

解析入門Ⅰ(その15)

 現在2023年5月10日14時17分である。(この投稿は、ほぼ4166文字)

麻友「太郎さん。今回のことでは、余り期待しないでね。『まゆゆが、そんなブログ楽しみにしてた』なんて、他のファンには許してもらえないだろうし、私自身、太郎さんを、まだ良く知らないから」

私「それは、当然だよ。風の便りを聞くぐらいのことしか、期待はしてない。麻友さんって、それくらい、防御硬いから」

若菜「昨日の、お母さんの愚痴っていうのは、何だったんですか?」

私「私って、居場所がない人のための場所へ、行ってるだろう。それで、本来、目が回るような生活を送るはずだった、麻友さんが、ひとりで、そんなところへ、行ってるとしたら、愚痴のひとつも、こぼしたいだろうな。と、思ったんだよ」

結弦「お母さん。本当は、何してるんだろう。アメリカの大学行ってるって、本当なのかなあ?」

私「それに関して、風の便りを、聞いてくる」

若菜「お父さんは、お母さんに、会いたいと思わないの?」

私「会いに行けるアイドルだったけど、一度も会いに行ってない。ミュージカルで、見たのと、ファンミーティングのときに、前を通り過ぎただけ。記憶を消されたのかも知れないけど、至近距離で会ったことも、言葉を交わしたこともない。私の周りには、下敷きを始め、麻友さんの写真がいっぱい。だから、満足。と、までは、言わないが、結婚に拘らず、ゆっくりおしゃべりできたら、それが至福」

若菜「それが、お母さんでなければならない、理由は?」

私「主にテレヴィでだけど、見てきた様子が、本当に波長が合う人なんだよ。それに、私、もの凄く目が悪いんだけど、麻友さんの顔ってすっごく気付くんだ」

麻友「その口説きは、新しく聞いたわね。本当に、水商売やってただけある。私より大切な、数学の話、聞かせて」


私「群の公理は、どうだっけ?」

結弦「(その8)のとき、書いたのは、


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 一般にある対象の集まり {G} に対し,その個々の対象を {G} の元または要素とよぶが,このとき {G} に関する群の概念は普通次のように定義される.

(1) {G} の任意の2元 {a,b} に対し、{a \circ b} で表される {G} の元({a,b}とよぶ)を一意に対応させる演算 {\circ} があり,

(2){G}単位元とよぶ特定の元 {e} があり,

(3){G} の任意の元 {a} に対し {a^{-1}} で表される {G} の元( {a}逆元 とよぶ)を一意に対応させる演算 {{}^{-1}} があり,これらに関して次の性質(公理とよぶ)が成立するとき,{G} は、{\circ} を乗算,{{}^{-1}} を逆元演算,{e}単位元とするをなすという.

 公理 {\mathrm{G1}}  {G} の任意の3元,{a,b,c} に対し,{(a \circ b) \circ c = a \circ (b \circ c)}結合法則

 公理 {\mathrm{G2.1}}  {G} の任意の元 {a} に対し,{a \circ e =a}  (右単位元の存在)

 公理 {\mathrm{G2.2}}  {G} の任意の元 {a} に対し,{e \circ a =a}  (左単位元の存在)

 公理 {\mathrm{G3.1}}  {G} の任意の元 {a} に対し,{a \circ (a^{-1}) =e}  (右逆元の存在)

 公理 {\mathrm{G3.2}}  {G} の任意の元 {a} に対し,{(a^{-1}) \circ a=e}  (左逆元の存在)

 ただし,等式は {=} の左辺と右辺の式の表す {G} の元が同一であることを意味する.


                               定義終わり

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                     (『数学基礎概説』p.1 より一部改変)

だったね」

私「『数学基礎概説』を使って、等号 {=} の意味や使い方を、学んだ。そして、逆元の逆元はもとの元、ということを表す、{(a^{-1})^{-1} = a} の証明まで、できるようになった。今後、等号というものは、あのように使われているのだと、思いながら、普通に変形して欲しい」

若菜「毎回、あのダーッと図を描く演繹はしない?」

私「コンピューターでも、高級言語でプログラミングして、よっぽどスピードの必要なところだけ、アセンブラで書く、或いはマシン語で書く、というようにした方が、そのコードを読む人も、楽だろう。数学でも、本当にここ、証明できてるのかな? という微妙なところだけ、演繹図を書くんだ」

結弦「そんな、演繹図を書くほど、微妙なことって、本当にあるの?」

私「普通ないけど、例えば、{\mathbf{NK}}{\mathbf{LK}} の同値性とか、{\mathbf{LK}} の無矛盾性とか、{\mathbf{LK}} の完全性とか、数学的帰納法って本当に正しいの? とか、選択公理とツォルンの補題とツェルメロの整列可能定理って本当に同値なの? とか、書いてみないと確かめられない場合が、あることはあるんだ」

結弦「うわーっ、本当に知ってる」

麻友「これは、楽しみだわ」


私「さて、ここから先は、『数学基礎概説』には、書かれていないことだ。実は、2回生のとき、藤居君の家で、ファインマン物理学のゼミをやっていたとき、群論の話になった。私が、


私「群の定義は、


{\mathrm{G1}} {G} の任意の3元,{a,b,c} に対し,{(a \circ b) \circ c = a \circ (b \circ c)} 。(結合法則

{\mathrm{G2}} {G} の任意の元 {a} に対し,{a \circ e = e \circ a =a} となる元 {e} がある。(単位元の存在)

{\mathrm{G3}} {G} の任意の元 {a} に対し,{a \circ (a^{-1}) =(a^{-1}) \circ a=e} を満たす元 {a^{-1}} が、存在する。(逆元の存在)


だよね」

藤居「そんなに、いらないんです。

 公理  {\mathrm{G1}} {G} の任意の3元,{a,b,c} に対し,{(a \circ b) \circ c = a \circ (b \circ c)} 。(結合法則

 公理 {\mathrm{G2.1}}  {G} の任意の元 {a} に対し,{a \circ e =a}  (右単位元の存在)

 公理 {\mathrm{G3.1}}  {G} の任意の元 {a} に対し,{a \circ (a^{-1}) =e}  (右逆元の存在)

だけで、良いんです」

私「そんなことしたら、右単位元と別に、左単位元が、必要にならない?」

藤居「大丈夫なんです」

私「逆元が、一意に定まらないとか?」

藤居「全部、証明してあるんです」

私「見せて!」


と言って、藤居君の本を、ひったくって読んでみると、書いてある。


私「知らなかった」


30年以上前で、本が見つからない。槇書店(まきしょてん)のこんな感じの本だった。

藤居「こう、夜眠れないときとかに、群論やらなきゃなと、本を持って、ベッドに入るわけなんや。そして、最初から読み始めて、ラグランジュの定理くらいまで来ると、眠くなってきて、眠れるわけです。いっつもそうだから、群の出だしは、完璧なんですよ」


というのに慰められつつ、家に帰り、どうしてあんな証明ができるのか、改めて確かめた」

若菜「藤居さん、かっこいい」

私「月日は流れ、私の、

を、2017年1月24日に読んでいたら、同じことが書いてあった。不勉強だったなと反省した」

麻友「太郎さん。そういうこと、多いわね。でも、他の人だって、そういうものよ」

私「右単位元と右逆元の存在だけで、群を定義出来ることを、次回やってみせるよ。もう21時51分だから、解散」

 現在2023年5月10日21時51分である。おしまい。