多様体と幾何学

松本『多様体の基礎』から始めて、松島『多様体入門』、志賀『多様体論』まで、制覇します。

解析入門Ⅰ(その3)

 現在2021年10月24日20時31分である。(この投稿は、ほぼ2223文字)

麻友「今日も、かなり熱心に、この本、読んでたわね」


田中一之『数学基礎論序説』(裳華房


私「8ページ読んだ。でも、まだ実数論の完全性の話は、かなり先だ」

結弦「『解析入門Ⅰ』も、出だしは、実数の話なんでしょ。最近、実数に、ご執心だね」

若菜「高校までだと、有理数と、実数って、あまり違わないように思ってるけど、本当は、もの凄く、違うんでしょ」

私「そう。有理数は、自然数と同様、不完全だが、実数には、完全な体系がある。もう少し言うと、複素数にも、完全な体系がある。今まで、ほとんど、考えたことがなかったことで、新鮮だ」

結弦「自然数有理数と、実数や複素数で、それぞれに共通する性質は?」

私「自然数有理数は、可算集合だが、実数や複素数は、連続濃度の集合だ」

結弦「それが、問題を解くカギ?」

私「まだ、分からない」

麻友「取り敢えず『解析入門Ⅰ』を、進めましょう」


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 解析学は変化する量一般を扱う科学といえる.質点の位置の時間的変化や,電磁場の時間空間的変化などを記述し,分析する数学的手段がこれによって与えられる.量の変化は {\mathrm{A}}{\mathrm{B}} に対する変化であり,数学的には函数として捉えられる.正比例のような一次函数は古代から用いられて来たが,微積分法の発見によって始めて一般の函数の変化を記述し分析する手段が与えられることになった.以来三百年にわたって解析学は多方面に発達し,定量的な考察を行うすべての科学に広く応用されるようになった.


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(『解析入門Ⅰ』まえがきより)

私「これが、まえがきの第2段落だ」

麻友「太郎さんは、函数と、書いてあるのを、関数に、書き換えたいと、言ってたわね」

私「うん。以前にも、言いかけたが、杉浦光夫さんの学生だった頃は、多価関数を、函数と書き、一価関数を、関数と書いていたらしいんだ」

若菜「どこで、読んだんですか?」

私「志賀弘典『保型関数』という本なんだ。


志賀弘典『保型関数』(共立講座 数学の輝き10)


このなかで、著者が、昔風に、多価関数を函数、一価関数を関数と、書こうとしたら、出版社から猛反発を受け、函数と書きたいところを、{\stackrel{・}{関} \stackrel{・}{数}}と書くことで、涙をのんだと、書いているんだ」

結弦「上に点を、打つということ?」

私「そう。過去に逆戻りするのは、良くないよ」

若菜「私達も、関数に点を打ったのに、書き換えるのですか?」

私「点、打たなくて、いいよ。この本の中で杉浦光夫さんは、函数しか使ってないから、全部『函数{\longrightarrow} 『関数』と、置き換えよう。以下、この置き換えは、『解析入門Ⅰ』では、断らずに行う」

結弦「僕、獲物ひとつ見つけたよ」

若菜「質点っていう言葉を、知らないとか?」

結弦「そういうのじゃなくて、『~微積分法の発見によって始めて一般の~』のところ、『~微積分法の発見によって初めて一般の~』だよね」

麻友「何かが、『始まる、終わる』、というのと、『初めて』、『最初に』、というのは、違うわね。確かに、ここは、『最初に~与えられることになった』の方だわ」

若菜「そうすると、お父さんの処理を加えて、


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 解析学は変化する量一般を扱う科学といえる.質点の位置の時間的変化や,電磁場の時間空間的変化などを記述し,分析する数学的手段がこれによって与えられる.量の変化は {\mathrm{A}}{\mathrm{B}} に対する変化であり,数学的には関数として捉えられる.正比例のような一次関数は古代から用いられて来たが,微積分法の発見によって初めて一般の関数の変化を記述し分析する手段が与えられることになった.以来三百年にわたって解析学は多方面に発達し,定量的な考察を行うすべての科学に広く応用されるようになった.


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と、なりますね」

私「ありがとう」

結弦「質点(しつてん)って、物理学の言葉だよね」

私「ランダウ理論物理学教程の冒頭は、


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 質点の概念は力学の基礎概念の1つである.


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と、始まる。いずれ、使うとき、説明するよ」

麻友「まえがきは、何ページあるの?」

私「4ページちょっと」

麻友「本文が、待ち遠しいわね」

私「今日は、ここまでにしようか」

若菜・結弦「おやすみなさーい」

麻友「おやすみ」

私「おやすみ」

 現在2021年10月24日22時20分である。おしまい。