多様体と幾何学

松本『多様体の基礎』から始めて、松島『多様体入門』、志賀『多様体論』まで、制覇します。

解析入門Ⅰ(その2)

 現在2021年10月22日20時02分である。(この投稿は、ほぼ2312文字)

麻友「今、長恨歌を、少しずつ、読んでいるんだけど、あれは、史実なの?」

私「いや、短編小説と思った方が、良い。創作も、一杯あるから。例えば、


楊家有女初長成(ようけにじょありはじめてちょうせいし)

楊氏の家にひとりの娘があり、やっと年ごろになったばかりであったが、


養在深閨人未識(やしなわれてしんけいにありひといまだしらず)

奥深い部屋で養育されていたので世間の人たちはまだ(その娘の美しさを)知らずにいた。


と、書いてあるんだけど、その話を、妹にしたら、


妹「楊貴妃は、初め、玄宗皇帝の弟の奥さんだったのに、凄い美人だから、取り巻き連中が、無理矢理、引きはがして、玄宗皇帝の奥さんにしちゃったなんて、中学生でも、常識だよ」


と、言われてしまって、ショックだった」

麻友「太郎さんは、どういう本で、漢詩を読んでいるの?」

私「この本なんだけど、高校の参考書だから、すごく親切」

遠藤哲夫漢詩』(旺文社)

麻友「絶版になってるわよ」

私「高校で、漢詩を、教えなくなったからねえ」

麻友「そういうことなのか」


若菜「それで、『解析入門Ⅰ』始めないのですか?」

私「やろう。まえがき、からだったな」

若菜「いつもだと、扉からですが」

私「ヨシッ!」


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    基礎数学2

    解析入門Ⅰ


    杉浦光夫著


   東京大学出版会


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結弦「えっ、基礎数学2って、基礎数学1は?」

私「基礎数学1は、『線型代数入門』なんだよ」

若菜「ガイドブック作る、っていうのに、2巻からですか?」

私「これは、説明をしておこう。以前、大学1年生の数学を学ぶ上での、裏技をいくつか、相対論のブログで、紹介しただろう。そのとき、『線型代数入門』は、第2章から読むこと、というのが、あった」

結弦「それは、覚えているよ。良い先生は、第1章を、読むなと言ってくれるって」

私「そう。実は、あの第1章を、読めるようになるには、『解析入門Ⅰ』の第Ⅰ章の、§1~§3くらいを読んである必要が、あるんだ」

若菜「つまり、お父さんは、東京大学出版会の基礎数学シリーズに切り込む、取っ掛かりを、ひとつ示そうというわけですね」

麻友「なるほど、そういうことか。じゃあ、もうちょっと、教えてよ。大学入試の頃から、微分方程式を解くのに、解はこうなるはずだから、と、置いちゃうのが、あるのよね。あれが、正しいという証明って、まだ見たことないんだけど」

私「実は、それは、あの『多様体の基礎』でも、常微分方程式の本に任せるみたいになっていて、気持ち悪い」

結弦「解決してないの?」

私「大丈夫。私は、1回生の後期のどこか、2回生の前期かも知れないけど、以下の本の第1章だけ、読んだんだ」

若菜「あっ、それ、裏技9でしたね。でも、どうして、第1章だけなんですか?」

私「本当に、常微分方程式を、究めようという人は、読んでも良いけど、現在のコンピューター解析の話が、古い本だから、書いてないんだよ。今どき、求積法なんてやってないで、数値解析した方が、成功するみたい。そうは、言うものの、私は、ルベーグ積分が、分かった後で、この2冊も、読みたいと思っている」


麻友「『解析入門Ⅰ』のまえがき、始めておきましょうよ」

私「それでは」


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      まえがき

 本書は解析学の基礎である微積分法を解説したものである.主として大学初年級で数学を学ぶ学生諸君を読者として想定している.


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私「取り敢えず、第一段落」

結弦「大学初年級って、言ってるけど、この本、難しいって、評判じゃない」

若菜「あくまでも、東京大学の理系の初年級ということですよね」

私「そうだ。東京大学で、本当に、このペースで、数学やっているというのは、確認済みだ」

結弦「どうやって?」

私「この本が書かれる前に(1980年以前)、杉浦先生の授業を、受けていて、数学者になった人が、その後、数学セミナーに、寄稿していて、授業がそのまま本になった、と言ってて、『先生のマシンガンの様に、チョークを黒板に打ち付ける音を、思い出しました』というのだ。少なくとも、杉浦さんの授業は、この速さだったのだ。信じられないかも知れないけど」

若菜「杉浦光夫さんって、どんな人って、あっ、ブルバキ訳したひとりでしたね」

結弦「ちょっと、お父さん。こんな本、大丈夫なの?」

麻友「コンピューターが、席巻する前の本だけど、ちょっと、楽しんでみても、いいじゃない。『これを知る者はこれを好む者にしかず、これを好む者はこれを楽しむ者にしかず』なんでしょう。楽しんじゃいましょうよ」

私「結論が出たところで、今日は、お開き」

若菜・結弦「おやすみなさーい」

麻友「おやすみ」

私「おやすみ」

 現在2021年10月22日22時15分である。おしまい。