多様体と幾何学

松本『多様体の基礎』から始めて、松島『多様体入門』、志賀『多様体論』まで、制覇します。

解析入門Ⅰ

 現在2021年10月21日20時52分である。(この投稿は、ほぼ3033文字)

麻友「なんか最近、数学が、いい調子で、進んでいるみたいじゃない」

私「『まゆゆ楊貴妃説』というのが、あるんだ」

若菜「お母さん、可哀想」

結弦「どういうこと?」

麻友「私が、その色香で、太郎さんを、数学から遠ざけていたということね。自分で言ってりゃ、世話ないわね。でも、楊貴妃って、皇帝の寵愛を受けた後、どうなったの?」

私「白居易(はっきょい)の、長恨歌(ちょうごんか)によると、前にちらっと相対論のブログで、『傾国』という記事で書いたけど、


六軍不発無奈何(りくぐんはっせずいかんともするなく)

近衛の軍隊は停止してそれ以上進もうとしない。(反乱の源となった楊氏一族を除かない以上は一歩も動かないと要求する彼らに対して)どうすることもできず、


宛転蛾眉馬前死(えんてんたるがびばぜんにしす)

美しい眉の美人(楊貴妃)は(玄宗の)馬前で殺されてしまった。


と、なっているんだ」

麻友「どうして、蛾眉っていうの?」

私「今はどうか知らないけど、中国の唐の時代は、美人の条件に、蛾(『が』だよね、蝶(ちょう)とか蛾(が)と言う)の触覚みたいな、美しい眉をしていること、という条件が含まれていたんだよね。麻友さんの眉って、だじゃれじゃないけど、麻友さんは、むしろ前髪かな?」

麻友「もう、前髪からは、卒業させて」

私「最近気付いたんだ。麻友さん、AKBのときの話をされるのも、辛いのかなって?」

麻友「やっと、分かってくれた? しばらく、AKB48のメンバーだったときの話は、許して」

私「それほどだったのか。そうすると、共通の話題が、もの凄く減るけど、でも、私達は、10回以上デートもしてるし、話題は、一杯あるね」

若菜「その数学の話題を、書くんじゃないんですか?」

結弦「この本だよね」

杉浦光夫『解析入門Ⅰ』(東京大学出版会

麻友「この本の、どこが、いいの?」

若菜「お母さんも、現金に」

私「その前に、この本の悪いところを、挙げる。難しい言葉は、今は分からなくて良い」


『解析入門Ⅰ』の欠点

・問題が難しい

・問題が多い

・問題の解答が不親切

ルベーグ積分の記述がない

・包絡線・伸開線の記述がない

記号論理学での同値の記述が不親切

位相空間を導入していない

・関数でなく函数と書いている



麻友「えっ、8個も欠点があるのに、この本を推挙するなんて、太郎さん、私のときと同じで、一目惚れなんじゃない?」

私「どこが、良いかは、アマゾンのこの気合いの入った、レビューを、読んでみて。全部事実だから」


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Kindleのお客様

良いか悪いかは、その人の目的次第

(実数の具体的な構成~デデキント切断から始まって、実数の諸性質の導出とか~)以外に関しては、ほぼ”完全無欠”の厳密な”解析学”の入門書です。普通の微分積分の教科書ではありません。リーマン積分の限界(リーマン積分が可能な必要十分条件)なんて、普通の教科書載ってないでしょう。そういう意味でルベーグ積分への際まで言ってます。
 陰関数の定理(Ⅱ冊目の最初)なども、普通の教科書だと図でごまかしているところを、きちんと”εーδ”的にごまかしなく証明しています。
 なので、専門で数学をやるひと、ガチで数学を使う専門の人は1,2年のうちに(あるいは高校生、中学生の時に)この本読んでおくべきです。ただ、”公式”的に数学を使うってだけのスタンスの人がこれ一生懸命取り組んでも(すらすら理解できれば別にいいのですが)挫折して劣等感抱くだけかも。
 複素解析のところは、個人的にはこの本(Ⅱ巻後半)より、名著との評価が高いアルフォースをお薦めします。あと、リーマン積分やったら即ルベーグ積分(の入門:例えば伊藤清三さんのルベーグ積分入門とか)読んじゃったり。
 計算機科学(機械学習とかでも)では、最適化などで”微分”の方が役立つんですが、数学理論としては積分(というか、同じと言うか測度)の方がはるかに面白いんですよね。
 微分は大抵簡単だが、積分は得てして困難。いまだ現代数学の研究対象である楕円曲線も、楕円の弧長の計算の困難さ(楕円積分)から始まった、ですとか、リーマン積分の限界がルベーグ積分の発見につながり、さらには一般の測度論へ。測度論はいろいろなな抽象的な対象にも”測り方”を与えますので、数学の中での応用は広いです。例えばハール測度。ポントリャーギンの双対律(局所コンパクトアーベル群の双対の双対は、元の群と自然に位相群として同型)など基本的な”美しい定理”がありますが、これもハール測度の賜物。

そういう、極めて有用な測度論へのイントロダクションとしてのリーマン積分のかなり完璧な解説書になっていると思います。積分部分だけ取り出して、”リーマン積分論”としたいぐらい。

なんにせよ、プロの数学者目指すならこの本(か、同レベルの教科書)は必須かと。ただ、あと思いつく本って、ApostolのMathematical Analysisとかくらいしか。デュドネのアレは教科書のレベルを超えてますし、ブルバキに至っては天才が中学生、高校生時代に読む本だし。Apostolの本も、杉浦さんの本ほど”ガチ”っぽくはないです(際まで攻める感はない)。

高木の解析概論は、1章の実数論以外読まなくていいかなぁ。ちゃんと読んだことないんですが(すいません)杉浦に勝るのは、高木の名声かと。高木の「代数的整数論」なんて、3,40年前の”偉い人”は”数論やるなら必ず読め”と言っていたものの、高木の類体論の証明にはもはや価値がない、というのが定評(あるいは私の偏見)のようで(あの手この手でなんとか証明した感が強い)。

で、結論(?)としては、数学者を目指すなら高校~大学1年夏休みくらいまでに1,2巻読破するといい。~>それくらいの気合は必要。


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麻友「えっ、アマゾンのこの本に、こういうレビューが、付いてるの?」

私「うん」

結弦「いつ頃だろ。最近かなあ?」

私「2020年4月15日と、なってる」

若菜「1年以上、皆の前で、目に触れているんですね」

私「それで、気持ちも高まったところで、いきなり本文を読むか、まえがき、から読むか、迷っているのだが、この本で、躓いた私として、余り数学がバリバリできない人に取って、まえがき、でも、躓くかな? という老婆心もある。難しい言葉に、ほんのちょっと橋渡しできたらいいかな? と思って、まえがき、からやろうか、などと思っている」

麻友「まあ、好きにやったら。ガイドブックなんだから、親切に越したことないわよ」

若菜「でも、もう23時42分です。寝なきゃ」

私「今日は、既に、2911文字にもなってる。第1回として、あのレビューを、見せられたのは、良かった。それと、もうひとつ、余り知られてないけど、長恨歌には、死んだ後の楊貴妃玄宗皇帝の話も、描かれているんだよ。訳の付いている本で、長恨歌を、読んでみるべし。じゃあ、ここまで」

若菜・結弦「おやすみなさーい」

麻友「おやすみ」

私「おやすみ」

 現在2021年10月21日23時45分である。おやすみ。